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K's Soul

コハラレーシングテクノロジー代表の小原 斉がレースへの情熱や今までの自身の経験を綴るブログ。

“進化と退化”

Post Date:2012/01/26

チョット昔話をしてみようと思います。

プラグチョップ」と言う言葉を聞いて、何の事だか判る人と判らない人、やった事が有る人と無い人の境目は何歳位なんだろう・・・?

4ストロークが主流になった現在では、走行中の燃調(燃料の燃え具合)をセンサーで拾って、走行後にデータロガーで調べる事が出来る。

2ストロークでも、1990年代に「デトネーションカウンター」なる物が現れてからは、異常燃焼の発生をデータロガーから調べる事が出来るようになった。

しかし、それ以前、1980年代までは、エンジンの燃焼の良し悪しはライダーのフィーリングに頼る所が大きかった。2サイクルエンジンは、4サイクルエンジンに比べて「焼付き」などのトラブルも起き易く、高性能を維持する為のセッティングの幅も狭かった為に、「マシンを少しでも早くしよう」とむやみにメインジェットを絞ると、ストレートエンドで焼付きを起こして大惨事になる危険性を秘めていた。

そこで登場するのが前出の「プラグチョップ」なる行為である。

ストレートなどでの高回転の全開走行時の燃焼状態を確認する為に、ライダーは全開走行から瞬時にクラッチを切って、それと同時にキルスイッチでエンジンを止めるのだ。そうする事によって、高回転全開走行時の燃焼状態が保たれる。通常これは各走行時間の終了時に行っていたが、サーキットのレイアウト(ストレートエンドからピットに入れるようなレイアウト)によっては、ピットインの度に行われていた。

メカニックは、マシンがピットに戻ってくると、すぐさまプラグを外してプラグの焼けのチェック、プラグホールからライトを差込みピストンの焼けのチェックを行い、その焼け具合で判断してメインジェットの選定を行っていたのだ。

当時は、キャブセッティングをする為には当たり前の行為で、WGPのトップライダーから地方選のノービス(国内)ライダーまで、サーキットを走る殆んどのライダーが「プラグチョップ」を行っていたと言っても過言ではないだろう。

「プラグチョップ」もそれなりに技術を要したので、非常に上手いライダーと、何回やってもきれいにエンジンを切れないライダーがいたりした。しかし、今の10代、20代のライダーは、「プラグチョップ」なんてやった事も無ければ、やり方も知らないのだろう。

もっとも、そんな不確実な要素に頼らなくても、もっと正確な情報が簡単に得られるのだから、必要無いと言う事なのだろう。

今と比べて正確な情報が少なかった当時は、ライダーは速く走る事以外にいろいろな事をしなければならなかったので、マシンの状態を繊細に把握していたのではないかと思う。「デトネーションカウンター」が世に出てくるずっと前に、異常燃焼の「音」を聞き分けていたライダーは多いし、焼付きに瞬時に反応する為に、クラッチレバーに常に指を掛けて走っていたライダーも沢山いた。メカニックも、少ない情報の中で素早くセッティングを進める為には、熟練の「勘」も必要だった。

いろいろな技術が進化して便利になった現代、それを扱う人間が退化しているように感じるのは気のせいだろうか・・・?

先日、マシン販売とメンテナンスの案内ページを更新したが、近々、YUATAKA製ブレーキディスクの販売受付も開始しようと思っている。ただ、販売するだけでなく、時間が許す限り、求められればアドバイスやノウハウもお伝えできればと考えている・・・何せ、ともに経験が長いライダーとメカニックの会社なので(笑)

販売コンテンツ → http://www.k-racing.co.jp/machine_maintenance/

Update:小原

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